文型と文脈
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━No.31━07/25/2009━━
≪翻訳の実況中継!≫ネイティブ・チェックから学ぶ 403部
~翻訳者と英語学習者を応援するブログ~
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ご無沙汰しています。
毎日、鬱陶しい日々が続いていますが、皆さんお元気でしょうか?
先日、「富田の英文読解100の原則」という受験参考書を読んでいたら、次のような件があった。
(1)I don't know whether he will come with us or not.
(2)I have to go whether he comes with me or not.
この2つの例文を引き合いに出して、(1)の文のwhether節は名詞節であり、一方(2)の文のwhether節は副詞節であると筆者は説明している。
その根拠として、(1)の文の動詞knowは「S+V+O」型を採り、(2)の文の動詞goは「S+V」型を採るからであると。
この筆者の頭の中には、英文の読解においては文脈を考慮するよりも文型を判断することが重要であるという考えが根を張っているため、このような解説に行き着くのだろうが、小生には「文脈を完全に無視して、文型だけで正しい英文の解釈ができるのだろうか」という疑問が残る。
(1)の文はまあ良いとして、そもそも(2)の文の動詞goが「S+V」型であると決め付けていることに問題がある。
ご存知のように動詞goが採る文型は「S+V」に限らない。たとえばSomething has gone wrong with this computerやThis fish will go bad soonなどの文のgoは「S+V+C」である。
(2)の文の意味は「彼がわたしと一緒に来るかどうかに関らず、わたしは行かなければならない」という意味にしか解釈できない。つまり(2)の文のwhether節は譲歩を表しているとしか解釈できない。
このことから、筆者の主張するように動詞goが「S+V」型を採るからwhether節が副詞節である、といよりも、文脈的にwhether節が譲歩を表しているとしか解釈できないから(2)の文の動詞goの文型は「S+V」であると判断できる、という流れのほうが自然なのである。
また英語の多くの動詞は複数の文型を採りうるので、文脈を考慮せずしてある特定の文における動詞の文型を正しく判断できないのではないか。
たとえば、He drinks coffee blackという文は、「彼はコーヒーをブラックで飲む」と解釈できるから「S+V+O+C」であると判断できるのである。
多くの辞書はdrinkが「S+V+O+C」型を採ると記載していないので、文の意味を考えずに辞書だけを頼りにしたら、このdrinkは「S+V+O」型であると誤った判断をしかねない。
長年の経験から言えることは、正しい英文の解釈には、文型と文脈の双方からの考察が不可欠であり、「まず文型の判断ありき」のような一方通行の戦略ではうまく行かない、ということである。
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